モーション制御コントローラを選ぶ9つの方法 | モーションコントローラとは?種類比較と選定のガイド【後編】

STEP6:モーションコントローラの選定

前回の記事で、

モーションコントローラとは、複数のモータを同期(協調)制御することのできる装置

であるという話をしました。

モーションコントローラは、複数のモータを同期制御できるがゆえに、
直線補間や円弧補間、それらを滑らかにつなげた連続軌跡補間という複雑で高精度なモーション制御が可能です。
この点が、位置決めコントローラ(位置決めユニット)やモーターコントローラと明確に異なる点であり、
精密な制御が要求される現在のFA装置にとって、必要不可欠な機器なのです。

さて今回は、STEP6【モーションコントローラの選定】方法について解説していきます。
モーションコントローラを選定する方法はざっくり9つあります。
さっそく見ていきましょう。

【前編】はこちらです↓

モーションコントローラを選定する!9つの方法

1、人に聞く

いきなりなんだそれ、と思われるかもしれませんが、結局のところ知っている人に聞くのが一番早いです。
会社の上司や会社製品を取り扱う商社の営業マン、お付き合いや取引のあるメーカの営業マンや設計者、開発者などなど。
製品の取り扱い経験のある人に、お勧めのモーションコントローラを聞いてみましょう。
きっと良い製品、既に使ったことのある製品を教えてくれます。

信頼できる人から勧められる製品は、会ったことのない人から勧められる製品よりも信頼できます。
モーションコントローラで新規開拓したい私にとって言いにくいことですが、
実際に(多少の性能とコストパフォーマンスの優劣を置いておいて)使用実績のある製品を採用するという現場は多いものです。

結論:まずは身近な人に聞いてみましょう。

そのあとに、インターネットで調べて、気になったメーカ製品の資料をダウンロードしたり、問い合わせて聞いてみるのもよいでしょう。
メーカに売り込まれたら面倒だ、まだ使うかわからないし、などと思ったとしても、遠慮せずに質問してみましょう。
思いもよらなかった良い解決策が見つかることがあります。

2、上位コントローラから選ぶ

上位コントローラを何にするか既に決まっていますか?
そうだとしたら、選択肢は絞られてきます。
前回の記事でご紹介しましたが、モーションコントローラの種類は大きく分けて以下の3つがあります。

① PLC用モーション制御ユニットタイプ
② 産業パソコン用モーションカードタイプ
③ スタンドアロンモーションコントローラタイプ

ここでは、上位コントローラを3つに場合分けして、それぞれに適するコントローラをご紹介します。

上位コントローラがPLCの場合

①を選択することが多いでしょう。以下のようなメーカが対応するモーションコントローラを販売しています。
(以降、一覧のメーカ名は、あいうえお順で表記しています。)

  • オムロン
  • キーエンス
  • テクノ
  • 富士電機
  • 三菱電機
  • 安川電機
  • 横河電機 など

上位コントローラが産業用PCの場合

②を選択することが多いでしょう。①または③を選択する可能性もあります。
㋑モーションカードのみ取り扱う会社、㋺モーションカードと産業用PCの両方を取り扱う会社があります。
それぞれの場合について、メーカの一覧を掲載します。

㋑ モーションカードのみ

  • コスモテックス
  • コンテック
  • 日本パルスモーター
  • ノヴァエレクトロニクス
  • メレック  など

㋺ モーションカードと産業用PC

  • ADLINK
  • オムロン
  • ソフトサーボシステムズ
  • ハイバーテック
  • プライムモーション  など

その他(上位コントローラを柔軟に選べる場合)

装置が小規模で、モーション機能もそれほど必要でない場合や、上位コントローラが必要でない、もしくはタッチパネルなどの場合は③のタイプを選択することがあります。以下のようなメーカが取り扱っています。

  • アクセル
  • コスモテックス
  • テクノ
  • ノヴァエレクトロニクス
  • ハイバーテック
  • プライムモーション
  • メレック
  • Y2 Corporation  など

3、回したいモータ(とセットの駆動機器)、制御したいもの(機械構造)から選ぶ

実現したい動作によって、使用するモータの種類(サーボモータやステッピングモータ、リニアモータなど)や機械構造(XYステージやロボットハンドなど)が決まる場合があるでしょう。
そのような場合は、それらを制御できるモーションコントローラを探します。

前回の記事でも触れましたが、モータを回すには駆動機器(サーボドライバやステッピングモータドライバなど)が必要になります。
そこで、モータを開発・販売しているメーカの多くは、駆動機器もセットで開発・販売しています。
モータと駆動装置が同じメーカのものであれば、想定しない不具合が起きる確率は大幅に低下します。
ですので、モータと駆動機器は同じメーカのものを購入することが一般的です。

では、それぞれの駆動機器に合うモーションコントローラはどうやって選べばいいのでしょうか。
その答えは、駆動機器の指令入力形式に着目することです。
ざっくり大きく分けて、以下の2つの指令入力形式(アナログ入力もありますが、特殊用途のためここでは割愛します)があります。

  • パルス列入力
  • 高速シリアル通信(産業用イーサネット)入力

それぞれの入力(モーションコントローラ側からみると出力)に対応可能なコントローラを取り扱うメーカについて見ていきます。

パルス列入力

この方式は、モーションコントローラを取り扱うメーカのほとんどが対応しています
そのため、選択肢が広く、コストパフォーマンスの優れた駆動機器、モータを選択することが可能です。

高速シリアル通信(産業用イーサネット)入力

産業用イーサネット(またはサーボネットワーク)の種類には、次のようなものがあります。
CC-Link IE FieldCC-Link IE TSNEtherCATMECHATROLINKRealtime Express(RTEX)など。
各メーカによって対応する通信方式が異なります。
以下に通信方式とそれに対応可能なモーションコントローラメーカの一覧をまとめました。

㋑ CC-Link IE Field、CC-Link IE TSN

  • 三菱電機  など

㋺ EtherCAT

  • オムロン
  • 三洋電気
  • ソフトサーボシステムズ
  • テクノ
  • ハイバーテック  など

㋩ MECHATROLINK

  • キーエンス
  • テクノ
  • 安川電機
  • 横河電機  など

㋥ Realtime Express(RTEX)

  • 旭エンジニアリング
  • コスモテックス
  • ソフトサーボシステムズ
  • プライムモーション  など

近年、各メーカが対応可能な通信規格の種類を増やしつつあります。
希望する通信規格に対応していない場合でも、現在開発中であったり、
取引規模によっては、開発依頼できる場合もあるので、各メーカに問い合わせてみてください。

4、制御軸数で選ぶ

各メーカは可能な指令出力の形式(パルス列、高速シリアル通信など)と同時に、モーションコントローラ1台で制御可能な軸数を提示しています。2、4、8、16、32、64、128、256軸などの中から選びます。
実際の現場では、制御軸数を選ぶときに、何軸を同期させて、それを何セット用意するか、という風に考えます。
(例:16軸の場合。4軸、6軸、3軸、3軸ずつ同期させた4セットで、合計16軸。)

モーションコントローラ動作イメージ
こちらの場合は8軸同期1セット

5,使用可能プログラミング言語、開発環境から選ぶ

どんなプログラミング言語で、どのように制御プログラムを開発するかは、装置の生産性、独自性、保守性、メンテナンス性などの良し悪しに直接かかわってくる問題です。作った人にしか理解できないようなプログラムでは、生産性、拡張性、メンテナンス性などが低く、また、学習コストがかかりすぎるものは、装置コスト、納期に響いています。

では、一体どんなプログラムでモーションコントローラは動作しているのでしょうか。
そして、どんな開発環境を用いてプログラムが組まれているのでしょうか。
種類別にまとめてみました。

プログラミング言語

① PLC用モーションユニットタイプ

  • LD、FBD、IL、SFC、ST(PLC用国際標準規格 IEC 61131-3 準拠)
  • G言語
  • C言語
  • メーカ専用言語  など

② スタンドアロンモーションコントローラタイプ

  • G言語
  • C言語
  • メーカ専用言語  など

③ 産業パソコン用モーションカードタイプ

  • C言語
  • C#
  • G言語
  • メーカ専用言語  など

開発環境

① PLC用モーションユニとタイプ

  • メーカ専用開発環境  など

② スタンドアロンモーションコントローラタイプ

  • メーカ専用開発環境  など

③ 産業PC用モーションカードタイプ

  • Windowsアプリケーション Visual Studio
  • メーカ専用開発環境  など

6、装置の規模で選ぶ

ざっくりと小規模ならスタンドアロンタイプ。
小、中規模なら産業用パソコンタイプ
小~大規模ならPLC用モーションユニットタイプという感じです。かなりざっくりです。

制御軸数が少ない小規模な装置でも、高速な通信、高精度で複雑な制御が必要とされる時、
産業用パソコンタイプやPLC用モーションユニットタイプを選びます。

7、メーカの営業マンや技術者と打ち合わせしてみる。

モーションコントローラを取り扱うメーカに問い合わせをして、会社に来てもらい、打ち合わせをします。
課題解決につながるような、ホームページには掲載していない製品や特殊対応可能な製品があるかもしれません
場合によっては、定価よりもずっと安く提供してもらうことも可能かもしれません
または、最適な他社のモーションコントローラを教えてもらえるかもしれません。
インターネット上には転がっていない、その人しか持っていない情報を引き出しましょう。

8、デモ機を借りて動かしてみる

メーカによっては、デモ機を無料(もしくは有料)で貸し出している場合があります。
実際に手元で動かしてみないことに始まらないというときは、デモ機を借り、動作実験をしてみましょう。
モータや駆動装置を必要としない、シミュレーション機能がついたソフトウェアを無料でダウンロードできるメーカもあります。
積極的に試してみましょう。

9、実際に動いているところを見る

以前は展示会という形で、大きな会場で、たくさんのメーカの製品や、その製品の紹介を見聞きするという機会がありました。しかし現在は、大勢が集まる催しが自粛傾向にあります。そんな中で、各メーカはWeb展示会や、ウェビナーという形で、オンライン上で、製品や製品技術に関連する情報を発信しています。
パソコン一つで好きな時間にアクセスできるので、リモートで気軽に参加することができます。

また、動画投稿サイト YouTube に、製品や製品技術の基礎知識などを紹介する動画をアップロードしている会社はたくさんあります。必要な情報が載っているかもしれません。この機会に、チェックしてみてはいかがでしょうか。

プライムモーションの YouTube チャンネルでは、『パソコンで簡単にモータ制御』というコンセプトのもとに、初心者の方でもパソコン一つあれば、ステップ by ステップでモータ制御を行えるようになる、そんなチュートリアル形式の動画シリーズを主に公開しています。
ぜひ一度ご覧ください。いいなと思ったら是非チャンネル登録もお願いします。

パソコンからモータ制御基礎編シリーズ

ラズベリーパイのpythonでモータ制御シリーズ

まとめ

お疲れさまでした。
前編、後編に分け、モーションコントローラとは何か、種類と通信方式の比較、選定のためのガイドをご覧いただきました。
いかがでしたでしょうか。
ひとえにモーションコントローラといっても、接続先の機器や通信方式によって、様々な種類があることをご理解頂けたかと思います。
紙面も限られ、とてもざっくりとした説明でしたので、メーカごとのモーションコントローラの性能の違いについてまでは、解説できませんでしたが、ぜひこれまでご紹介した内容をもとに、各メーカのホームページに訪れ、比較検討してみてください。
そして、気になるモーションコントローラが見つかったら、資料ダウンロードやお問い合わせをしてみてください。
良い解決策が見つかるかもしれません。

読者の皆様が、課題解決に最適なモーションコントローラを選定できるよう、今回記事を書かせていただきました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(以下注)

※ 本記事の内容は、2021年8月2日時点のインターネット検索による弊社調べに基づいています。あくまで一例ですので、関連するすべての会社を掲載しているものではありません。また、時間経過により内容に誤りが生じる場合がございます。最新の情報は各社ホームページにてお確かめください。
※ ページおよび本サイトに記載の会社名及び通信方式名は、各社、各団体の登録商標の場合があります。
※ 産業用PCとモーションカードは相性(動作保証されていて、ちゃんと動くかどうか)があり、特に、異なるメーカの製品同士を接続して使用する場合は注意が必要です。動作保証については各メーカにお問い合わせください。

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