【IIRフィルタ】第9回:簡単一次IIRフィルタの周波数特性のグラフ(アナログフィルタとの比較)

前回の記事で、インパルス不変法で設計した一次IIRローパスフィルタの振幅特性や位相特性のグラフを紹介した。

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ディジタルフィルタの計算式は、

$$y(nT) = x(nT) – \frac{1}{16} * y((n-1)T) + y((n-1)T)   (式11)$$

で、係数を1/16として、シフト演算を使えるようにしている。

サンプリング周期T=1msの場合、一次IIRフィルタの時定数は、$15.4946$[ms]となる。詳細は

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を参照。

今日は、そのグラフを同じ時定数のアナログローパスフィルタと比較してみる。さて、一次ローパスフィルタの伝達関数は、時定数を$\tau$[s]として

$$G(s) = \frac{1}{1 + s\tau}   (式20)$$

$s = j\omega$ を代入して、$\omega$ の関数にする。

$$G(j\omega) = \frac{1}{1 + j\omega \tau}$$

$$ = \frac{1}{\sqrt{1 + (\omega \tau)^{2}}} * e^{j\phi(\omega)}   (式21)$$

ここで、位相は

$$\phi(\omega) = arctan(\omega\tau)   (式22)$$

絶対値の部分をとって、ゲインは

$$g(\omega) = \frac{1}{\sqrt{1 + (\omega\tau)^{2}}}   (式23)$$

時定数$\tau$ は前述のように

$$\tau = 15.4946E-3$$

同じ時定数のアナログローパスフィルタの位相特性(式22)、ゲイン特性(式23)が得られたので、前回の記事で導出した一次IIRローパスフィルタの振幅特性や位相特性を比較してみる。

グラフは、

  • 細かい部分がわかるように、0~200Hz のグラフ
  • サンプリング周波数1000Hz までがわかるように、0~1000Hzのグラフ

を示す。

ゲイン特性(0~200Hz)

比較のため、ディジタルのゲイン特性を正規化して(直流でのゲインの値、16ですべてのゲイン値を割って)いる。

200Hz まではほとんど差がない。

ゲイン特性(0~1000Hz)

サンプリング周期T=1msとしているので、1000Hzはサンプリング周波数である。

サンプリング周波数1000Hzの半分、500Hzからずれてくる。

ゲイン特性[dB](0~200Hz)

次に縦軸をデシベル[dB]にしてみる。

ゲイン特性[dB](0~1000Hz)

サンプリング周期T=1msとしているので、1000Hzはサンプリング周波数である。

位相特性[rad](0~200Hz)

次は、位相特性を見てみる。

位相特性[rad](0から1000Hz)

サンプリング周期T=1msとしているので、1000Hzはサンプリング周波数である。

位相特性[rad](0~1000Hz)

サンプリング周期T=1msとしているので、1000Hzはサンプリング周波数である。

位相特性[deg](0~200Hz)

次に縦軸を度[deg]にしてみる。

位相特性[deg](0~1000Hz)

サンプリング周期T=1msとしているので、1000Hzはサンプリング周波数である。

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