【FIRフィルタ】第1回:単純移動平均周波数特性(2回平均)

仕事で、移動平均の周波数特性の検討書を作ることになったので、昔勉強した本を引っ張りだして、書いている。「移動平均」は、株価の分析にも出てくる。ここでは、ディジタル信号処理のローパスフィルタとして使用する。まず、簡単な2回移動平均から。FIRフィルタのもっとも簡単な形。

FIR:Finite Impulse Response(有限インパルス応答)

■図の入出力関係は

$$y(nT) = x(nT) + x{(n-1)T}   (式1)$$

■伝達関数を求める。(式1)の両辺をまずZ変換する。

$$y(nT) => Y(z),   x(nT) => X(z),  x{(n-1)T} => X(z) * z^{-1}$$

と置き換える。すると

$$Y(z) = X(z) + X(z) * z^{-1}$$

次に、出力 Y(z) と X(z) の比の形に変形する。

$$Y(z) / X(z) = 1 + z^{-1}   (式2)$$

これが伝達関数である。

■次に周波数特性を求める。伝達関数の式において、$z^{-1}$ を $e^{-jwT}$ に置き換える。左辺の $z$ は、$e^{jwt}$ に置き換える。$w$ は角周波数。$T$ はサンプリング周期。株式市場なら、1日。速度制御なら 1ms から 数百 μs あたり。

$$Y(e^{jωT}) / X(e^{jωT}) = 1 + e^{-jωT}$$

これを振幅と位相の式に変形する。複素数に関わる知識が必要になる。オイラーの公式

$$e^{jθ} + e^{-jθ} = 2*cosθ$$

を使えるように変形する。

$$(e^{jωT/2} + e^{-jωT/2}) * e^{-jωT/2 }$$

上記のオイラーの式を使って、

$$Y(e^{jωT}) / X(e^{jωT}) = 2 * cos(ωT/2 ) * e^{-jωT/2}   (式3)$$

これが、2回移動平均の周波数特性である。