【IIRフィルタ】第7回:簡単一次IIRフィルタの周波数特性の計算式

さて、今回は、インパルス不変法で設計した一次のIIRローパスフィルタの周波数特性計算式を導きます。

ディジタルフィルタの計算式は、こちらの記事

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から、

$$y(nT) = x(nT) – (1-e^{-\frac{T}{\tau}}) * y((n-1)T) + y((n-1)T)   (式9)$$

である。

この式において、サンプリング周期T=1ms、時定数 $\tau$ を約15msとおいて、各種の入力波形に対して、出力波形を計算した。

インパルス入力に対する出力波形は、

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ステップ入力に対する出力波形は、

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正弦波入力に対する出力波形は、

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という計算してきた。


さて、(式9)の伝達関数は、こちらの【IIRフィルタ】第1回目の記事

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から

$$G(z) = \frac{1}{1 – e^{-\frac{T}{\tau}} * z^{-1}}   (式5)$$

この式において、$z=e^{j\omega T}$、あるいは 、$z^{-1}=e^{-j\omega T}$を代入すると、$\omega T$に関わる式

$$G(e^{j\omega T}) = \frac{1}{1 – e^{-\frac{T}{\tau}} * e^{-j\omega T}}   (式10)$$

が得られる。オイラーの公式

$$e^{-j\theta} = cos\theta – j * sin\theta   (式11)$$

より、

$$e^{-j\omega} = cos(\omega T) – j * sin(\omega T)$$

であるから、

$$e^{-j\omega T} = \frac{1}{1 – A * (cos(\omega T) – j * sin(\omega T))}   (式12)$$

ここで、

$$A = e^{-\frac{T}{\tau}}   (式13)$$

と置いた。さらに、分母の実数部と虚数部(jの付いている項)を分けて

$$G(e^{j\omega T}) = \frac{1}{1 – A * cos(\omega T) + j * A * sin(\omega T)}   (式14)$$

となる。分母の

$$実数部 + j 虚数$$

の形を

$$絶対値 * e^{j位相}$$

の形に直す。この形を

$$Abs * e^{j * Angle}$$

と置けば

$$Abs = \sqrt{実数部^{2} + 虚数部^{2}}$$

$$Angle = \arctan(\frac{虚数部}{実数部})   \text{[rad]}$$

で得られる。(式14)の分母は

$$実数部 = 1 – A * cos(\omega T)$$

$$虚数部 = A * sin(\omega T)$$

なので、

$$Abs = \sqrt{(1 – Acos\omega T)^2 + (Asin\omega T)^2}   (式15)$$

$$Angle = \arctan(\frac{Asin\omega T}{1 – Acos\omega T})   \text{[rad]}(式16)$$

となる。

$$\frac{1}{Abs * e^{j * Angle}} = \frac{1}{Abs} * e^{j(-Angle)}$$

なので、(式14)は、

$$G(e^{j\omega T}) = \frac{1}{Abs} * e^{j * (-Angle)}   (式17)$$

となる。周波数特性のゲイン特性(振幅特性)は、(式17)の絶対値の部分から

$$g(\omega) = \frac{1}{Abs}$$

$$= \frac{1}{\sqrt{(1-Acos\omega T)^{2} + (Asin\omega T)^{2}}}   (式18)$$

デシベル[dB]表示にしたいときは、

$$20 * \log | g(\omega) |    \text{[dB]}$$

を計算する。

次に、位相特性は、(式17)の位相の部分から

$$\phi(\omega) = -Angle$$

$$= -\arctan{\frac{Asin\omega T}{1 – Acos\omega T}}  \text{[rad]}(式19)$$

度[deg]の表示にしたいときは

$$\frac{\phi(\omega)}{2\pi} * 230   \text{[deg]}$$

を計算する。

ただし、

$$A = e^{-\frac{T}{\tau}}   (式13)$$

次の記事では、周波数特性(ゲイン特性、位相特性)を計算してみよう。