【IIRフィルタ】第8回:簡単一次IIRフィルタの周波数特性のグラフ

今日は、一次のIIRフィルタの周波数特性のグラフを示す。

ゲイン特性の計算式は、前回の記事より

$$g(\omega) = \frac{1}{\sqrt{(1 – Acos\omega T)^{2} + (Asin\omega T)^{2})}}  (式18)$$

位相特性の計算式は、前回の記事より

$$\phi(\omega) = -\arctan(\frac{Asin\omega T}{1 – Acos\omega T})  (式19)$$

ここで、

$$A = e^{-\frac{T}{\tau}}  (式13)$$

Tはサンプリング周期、$\tau$ は時定数。

以下のグラフでは、

$$1 – A = 1 – e^{-\frac{T}{}\tau} = \frac{1}{16}$$

としてあります。

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の記事の

$$1 – e^{-\frac{T}{\tau}} = \frac{1}{16}  (式10)$$

ここで、サンプリング周期T = 1ms とすれば、時定数$\tau$ は約15msとなります。

ゲイン特性

周波数が上がるとゲインが小さくなります。周波数が高い正弦波をこのフィルタに入れると、出力波形の振幅が小さくなります。ローパスフィルタを設計したのだから、当然ですね。

実際の入力の正弦波と出力の正弦波については、先の記事

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を参照して下さい。

ゲイン特性 [dB]

デシベル[dB]に直しました。

位相特性 [rad]

周波数が上がると位相が次第に遅れます。しかし、さらに周波数が上がると位相遅れが小さくなります。おもしろいですね。

位相特性 [deg]

度で計算しました。

エクセルのデータは、こちら
簡単一次IIRフィルタの周波数特性のグラフ(アナログフィルタとの比較) Excelデータ

今回、サンプリング周期T=1msとして、時定数$\tau$が約15msになっていますが、

サンプリング周期を長くして、T=10msとすれば、時定数$\tau$が約150msとなります。周波数特性のグラフは同じ形になりますが、横軸の周波数最大値は200Hzを20Hzとして考えてください。

逆にサンプリング周期を短くして、T=0.1msとすれば、時定数$\tau$が約1.5msとなります。周波数特性のグラフは同じ形になりますが、横軸の周波数最大値は200Hzを2000Hzとして考えてください。

今回のディジタルフィルタの計算式は

$$y(nT) = x(nT) -farc{1}{16} * y((n-1)T) + y((n-1)T)   (式11)$$

です。

乗算器や浮動小数点演算を使用しないで、シフト演算だけで一次IIRフィルタを実現しました。これなら、安いマイコンやVHDL、verilogで実現できますよね。

これから、今回のサンプリング周期T=1ms、時定数$\tau$ 約15ms以外についても考えていきます。